書籍紹介
どの病院にも、一般の人々が決して目にしない場所がある。業務用通路。機械室。立入制限付きのエレベーター。だが、アメリカのある名門医療センターには、それ以外のものが存在していた。案内図にも、設計図にも、職員名簿にも、患者統計にも載っていない、完全に稼働中のフロアだ。
午前2時17分。病院管理責任者のダニエル・マーサー医師は、元連邦判事トーマス・ヴェイルが通常の手術後に死亡したとの連絡を受け、心臓集中治療室へ呼び出される。書類上、ヴェイルは死亡している。家族への通知も済み、カルテも閉じられていた。
問題は、ただ一つ。
遺体が消えていた。
担当職員の氏名も受領者の署名もない搬送記録が見つかる。搬送先には、ダニエルが見たこともないコード「SDL-8」が記されていた。防犯映像には、覆いをかけられた病院用ベッドが業務用エレベーターに入る様子が映っている。だが建物の制御システムによれば、そのエレベーターは一度も動いていない。そしてダニエルは、登録された二つの階の間に隠された、あり得ない乗り場を発見する。
事務上の不一致にすぎなかったはずの問題は、彼が理解していると思っていた病院内に築かれた、もう一つの医療システムへの下降へと変わっていく。
表示のない扉の向こうには、職員名簿に載っていない医師たち、患者統計に存在しない患者のために発注された薬、24時間酸素を消費し続ける無記名のベッド、そして心臓がまだ動いているにもかかわらず、完全に有効な死亡証明書を持つ人々がいた。
あらゆる手がかりは、ありふれたものの中に隠されている。薬剤記録の不一致、エレベーターの制御装置、酸素の請求書、削除された資格情報、死亡証明書。全体像を理解できるほど多くを目にする職員は一人もいない。だからこそ、この仕組みは生き延びてきたのだ。
ダニエルが調査を深めるほど、その構図は不穏さを増していく。レベル8は、単なる秘密病棟ではなかった。それは、冷戦期の生存計画から生まれ、数十年をかけてはるかに危険なものへと変貌した秘密基盤「コンティニュイティ・ネットワーク」への入口の一つだった。生きた人間を法的世界から消し去ることのできるシステムだ。
内部にいる者の中には、保護された者もいた。価値があると見なされた者もいた。金を払って姿を消した者もいた。
だが、自ら死を選んだのではない者もいた。
そしてこのシステムは、法的な死が身体的な監禁よりも強力になり得ることを学んでいた。口座は閉鎖され、資格は失効し、医療記録は過去のものとなる。家族は空の棺を埋葬する。生きている人間が、どの裁判所にも覆す術のない行政上の事実へと変えられてしまうのだ。
今やダニエルは知りすぎている。彼のアクセス権は変更されつつあり、家族は監視されている。そして同じネットワークのどこかでは、彼自身の死を公式なものにするための書類が、すでに準備され始めていた。
生き延びるため、ダニエルは人を殺すためではなく、存在そのものを消すために設計された陰謀を暴かなければならない。そして恐ろしい問いに立ち向かうことになる。あらゆるデータベース、裁判所、病院、銀行、政府の記録があなたを死亡者としているとき、どうすれば自分が生きていると証明できるのか。
『存在しない階』は、秘密裏の医療、組織の権力、隠された身元、政府の機密、そして誰が公式に存在するのかを定める脆弱な制度を描く、緊迫の医療陰謀スリラーである。
この病院では、死が必ずしも終わりとは限らない。
時には、それは単なる身分の変更にすぎない。